『DESIGNFUL LETTER』は、一般社団法人 DeX commonsが不定期にお届けするニュースレターです。参加と共創から生まれるデザインフルネスな未来へ、皆さんと一歩ずつ進んでいけましたら幸いです。

今号のテーマは、手を動かす。考えるだけではなく、実際に動かし続けることで、そこからまた始まる「別の可能性」を紐解きます。

目次
・社会とデザイン - ビジネスデザイナーの活動
・知恵とデザイン - 一冊から紐解く
・デザインとの対話 - 対話の時間

▼ 社会とデザイン / Social＆Design

ビジネスデザイナーのカタチ

デザインによって変革をもたらしたビジネスデザイナーの活動をご紹介

多くの方に惜しまれながら2013年に閉店した「大坊珈琲店」を営まれていた、大坊勝次さん。

閉店後はセミナーやイベントと形を変えて、全国各地で珈琲を淹れ続けられています。

伝説とも言われるその喫茶店は、南青山のビルの2Fに1975年7月1日に開店しました。「空間自体がそれぞれの人達の鎧を脱がせ、自分自身に返り一休みできることを望んだのです。」と著書『大坊珈琲店』で語られています。

2階に向かう細長い階段、ダークブラウンに統一された店内、音をしぼった落ち着いたジャズ、小さく活けられた日常の花など。メニューはもちろんのこと、内装、調度品、細部に至るまで、そのために気が向け続けられていました。

交わされるミニマルな会話、そしてそこにおられた方々がつくり出す空気も、相互作用の中で磨かれていったようでした。

そこには来る人を自然といざなう知覚情報の経路が用意されていました。技術や形あるものだけでは実現できなかったこと。惜しまれたのは珈琲だけではなかったと思わせてくれます。

現在は、その場を各地のお店でのセミナーやイベントに移し、今と向き合い続けられています。参加された方の声には、不思議と当時から変わらぬ思いが伝わっているようです。

つくりあげた舞台装置がなくても、その環境に配慮した中での丁寧な動作のひとつひとつに自然と目線は引き込まれ、ふっと日常が離れます。

お店でもイベントでも、常に感じるのは、珈琲を淹れるという行為を通した「伝える」ためのプロセスの設計。

積み重ねた日々のPDCAと変わらない思い、様々な制約があっても手を止めないこと。そんな要件こそが、時代や環境を超えて、伝わり続ける秘訣かもしれません。

▼ 知恵とデザイン / Wisdom＆Design

企画のつくり方

デザインにまつわる知恵が詰まった一冊から紐解く

「企画」

ビジネスシーンで頻繁に登場するこの二文字。人々を熱狂させたり、ヒット商品を産んだり、事業をつくったりと、魔法の言葉のように使われています。

しかし、元フジテレビのヒットメーカー高瀬敦也氏は、著書『企画「いい企画」なんて存在しない』の中で、「企画力は、特別な才能ではない」と主張します。

いつしか染み付いた、「企画＝アイデア」という固定観念。しかし、高瀬氏は、企画はアイデアではなく「決める」ことだと捉えているそうです。

一流のヒットメーカーでも、出す企画が100発100中で当たることはありえない。
だから、アイデア自体よりも、これで行くと決めること、形にして世に出すことが「企画」の本質なのです。

何が何でも世に出し、当たらなかったら軌道修正し、次の企画を世に出す。これを繰り返すことで、熱狂が生まれる可能性は上がります。

企画の本でありながら、この一冊には、「企画のつくりかた」という項目はありません。

ですがこの本に従い、向き合う対象を「インプット」や「結び付け」、「やり切り力」など、高瀬氏の唱えるシステムに当てはめていくことで、触れるもの全てが企画に落とし込めるように感じてきます。

企画という言葉の持つ、高尚な呪縛に囚われず、ただ「決めていく」ことが、我々を企画者に発展させる。

企画力は、才能ある人だけの特殊能力ではない。そう感じられたら、次は「自分の人生」の新しい企画を考えたくなります。

▼ デザインとの対話 / Dialogue - Design

未来の迎え方と、その歩み

衣食住遊にまつわるビジネスデザイナーとの対談をご紹介

デザイントランスフォーメーションを実践している様々なジャンルの「ビジネスデザイナー」（意匠、プロセス、経営など）をゲストにお迎えし、「ビジネスデザイナー」になるための方法やヒントを探るDeX commons dialogue。

6月4日（金）に行われたdialogueトークライブ#08は、ADKクリエイティブ・ワン/SCHEMA クリエイティブ・ディレクター/クリエイティブ・テクノロジスト小塚さんをお呼びしての対話の時間でした。

タイトルは、不確実な未来をデザインする「SFプロトタイピング」とは？SFをベースに未来のシナリオを構築し、逆算していま何をすべきかという、童心に帰ったような思考プロセスに心が躍ったお時間でした。

“起こりうる未来をどういう風に考えていくのか？という、未来予測が今必要となってきている”

▽ アーカイブはこちら

https://rimo.app/share/0aB1BshQJqST4JtofbTp6hn4CNE2/2BFL7UMmbBXhAxogGaKm

次回は9月10日（金）19:00～開催されるdialogueトークライブ。株式会社CO&COの伊崎さんと“共育・共創・共生”で世界をひとつにするボーダーレスなコミュニティデザインをテーマに、対話の時間をお送りします。

つい明確な正解を探しがちな中、ともに正解を創り上げる生き物のような時間を過ごせたらと思っております。ご興味ございましたら、ぜひご参加ください。
https://dexcommonsvol12.peatix.com/

◇ Photo by YUTA NISHIDA

今号はここまでとなります。読んでみて、どんな気持ちになりましたでしょうか？

読んだ読後感をそのままに、感情のままに自由に残せる場所をつくりました。穏やかな手紙のようなやり取りを、あなたとできましたら幸いです。
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